11年05月29日 9:27 am |
愛用しているアトムチューブレスが、走行距離5000キロをオーバーしました。これは決戦用タイヤとして購入したものです。しかしこれまでパンクと無縁でしたので、通勤などの普段乗り用として調子に乗って走り回ってました。
タイヤ内部をチューブで膨らませている通常のクリンチャータイヤと異なり、チューブレスタイヤはチューブを必要としません。そのためにリム打ちによるスネークバイトパンクの可能性が極端に少なくなります。ハッチンソン社では気密性を高めてパンクのリスクを減らすために、指定のシーラントを入れて使う事を推奨しております。
私はパンクのリスクを可能な限りなく減らすために、プロテクトエアMAXを入れて走行しています。私はトレッド面の磨耗の限界付近まで走りましたが、これまでパンクでのトラブルには一度も見舞われることがありませんでした。これまでに小さな異物が刺さっていた事も考えられますが、プロテクトエアMAXが自動的に補修するために、そのまま走り続ける事ができている可能性もあります。
通常のクリンチャータイヤであれば、5000キロも走れば2~3回程度のパンク修理もしくはチューブ交換を強いられるケースが多いです。それを考えると、パンクのトラブルと無縁でいられるのは素晴らしい事だと思います。
私は現在、3種類のロードチューブレスタイヤを、3セットのホイールに装着して走行しています。このアトムチューブレスは、これまで前後ローテーションを繰り返しながら、1年弱の期間にわたって走りました。
プロテクトエアMAXはサラサラの液体です。回転することでタイヤ内部に皮膜が形成されます。基本的には水分なので、序々に蒸発して内容量が減っていきます。ひと夏を越すと、内部がカラカラに乾燥している場合もあります。そのため一度プロテクトエアMAXを入れたからと言って、決してそのまま放置して良いものではありません。前後ローテーションする際などにプロテクトエアMAXの残量を確かめるようにしてください。劣化して変質・変色している場合は、入れなおします。単に量が減っている場合は、適宜継ぎ足します。ロードチューブレスの場合、タイヤ1本につき30mlを注入します。
ホイールから取りはずしたアトムチューブレスの内部は、このようにプロテクトエアMAXの皮膜が形成されています。走行中に遠心力でタイヤ内部に張り付いているために、最も遠心力が高いタイヤ中央部分に皮膜が集中しています。走行中に路面と接触しているのは、この皮膜が形成されている部分です。そのため路面の異物がトレッド面に刺さった場合は皮膜が内圧で外に押し出される格好で、パンクを物理的に塞いでくれるのです。
タイヤ内部に形成された皮膜が、どのような状態のものか触ってみました。
この皮膜は、2mm程度までの大きさのパンク穴を塞いでくれるものです。指で触れると、剥がれてしまう程度の柔らかいものでした。前後ローテーションする場合は、必ずしもこの皮膜を取り除く必要はありません。プロテクトエアMAXを入れ替えるか、そのまま継ぎ足してお使いください。
タイヤのビード付近には、かなりの量の皮膜が形成されています。前後ローテーションする場合にビード付近に大きな塊がある場合は、取り除いて再装着される事をお勧めします。
アトムチューブレスは、転がり抵抗が少ないレーシングタイヤです。パッケージには晴天時用とありますが、ハッチンソン社のテストでは、大手他社の全天候型タイヤよりもウエット性能が高いという結果が出ております。私は様々な天候の下で徹底的に走りこみました。いわゆる「皮むき」を終えた状態であれば、どんな路面状況でも普通に走れてしまう安心のレーシングタイヤという印象です。
自分に最適な空気圧を見つけた時には、まるで翼を手に入れたかのような快適な走りを得ることができました。私は体重53キロですので、パッケージに書かれた適正空気圧は6キロです。この空気圧ですとタイヤを通じて伝わってくる路面からの突き上げは、非常にマイルドに感じます。空気圧を低く設定できるために、コーナーリングスピードも異次元です。下りのコーナーリング速度は、チューブレスにはかないません。それに走行速度を上げていくに従って、どこまでもスピードが伸び続けていくという、何とも表現しがたい不思議な感覚です。高速巡航を続けるような状況が多いローディーにとって、アトムは最高のチューブレスタイヤだと思います。
ライバル全員がカーボンディープリムで参戦している中、私ひとりがシャマルにアトムチューブレスで参戦したレースがあります。機材面で私が不利という大方の予想を裏切り、結果的にはアトムチューブレスで全員を千切ってしまうという、痛快な出来事がありました。後にそれを知った多くの方々がロードチューブレスをご購入され、「まさかこれ程とは」と驚かれています。カーボンディープリムの空力よりも、路面の走行抵抗を激減させることが、速く快適に走れる魔法を生み出しているのだと思います。
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